2026年1月23日金曜日

五蔵の病形

邪氣藏府病形篇(T15五藏脈診)

心脈急甚為瘛微急為心痛引背食不下

大甚為喉吤微大為心痹引背善淚出

小甚為善噦微小為消癉

緩甚為狂笑微緩為伏梁在心下上下行時唾血

滑甚為善渴微滑為心疝引齊少腹鳴

濇甚為瘖微濇為血溢維厥耳鳴癲疾

肺脈急為癲疾微急為肺寒熱怠惰欬唾血引腰背胸若鼻宿肉不通

  大甚為脛腫微大為肺痹引胸背起惡日

小甚為洩微小為消癉

滑甚為息賁上氣微滑為上下出血

濇甚為歐血微濇為鼠瘻在頸支掖之間下不勝其上其能喜酸

肝脈急甚為惡言微急為肥氣在脇下若覆杯

緩甚為喜歐微緩為水瘕痹也

大甚為癰善歐微大為肝痹筋縮欬引少腹

小甚為多微小為消癉

滑甚為頽疝微滑為遺溺

濇甚為溢微濇為瘈攣筋

脾脈急甚為瘈瘲微急為鬲中食入而還出後沃沫

緩甚為痿厥微緩為風痿四支不用心慧然若毋病

大甚為擊仆微大為疝氣腹裏大膿血在腸胃之外

小甚為寒熱微小為消癉

滑甚為頽𤸇微滑為蟲毒蛕蝎腹熱

濇甚為腸頽微濇為潰多下膿血

脈急甚為骨癲疾微急為沈厥足不收不得前後

緩甚為折脊微緩為洞洞食不化下嗌還出

大甚為陰痿微大為石水起齊以下至少腹垂垂然上至胃管死不治

小甚為洞洩微小為消癉

滑甚為𤸇微滑為骨痿坐不能起起目毋所見

濇甚為大癰微濇為不月沈痔

 

 五蔵の積が揃っている。脾の積だけを欠くようだが,『太素』の疝気を『脈経』は痞気に作る。これを取る。

 

 脈の緩急、小大、滑濇を診て,五蔵の病形を知る。緩、急は弛緩と緊急で熱と寒を診る。小と大では血気の皆少と多気少血を診る。小も大も血は少なく,大小は気の多少の違いであって,単純に反対語ではない。滑では陽気が盛んで微しく熱が有るのを診,濇では多血少気で微しく寒が有るのを診る。滑は過度に活動的で,濇は渋滞。

 寒熱でいえば,緩(多熱)― 滑(微有熱)― 濇(微有寒)― 急(多寒)。

 

他の脈学書の多くと,祖脈の構成が異なって,浮沈と数遅が無い。井上雅文先生式の人迎脈口診では,主要なものは逆に浮沈と数遅である。

 

 緩を刺すには,浅く入れて疾く針を抜いて,その熱を去る。滑を刺すには,浅く入れて疾く針を抜いて,もって陽気を瀉して熱を去る。濇を刺すには,必ず脈に中て,その逆順に随って久しく留め,必ず先ず捫してこれに循い,もって針を抜き,疾く痏を按じ,出血させない(血は荷物,荷物が多くて貨車がすくないとき,多くても荷物を安易に捨てたりしない?)ようにして,その脈を和す。 急を刺すには,深く入れて久しくこれを留める。

 大(多気)―(陽気盛)滑 ←→ 濇(少気)―(少気)小

  (少血)           (多血) (少血)

 大を刺すには,わずかにその気を瀉して,その血を出さない。小は,血気のいずれもが少ないのあるから,そもそも針術の適応ではない。甘薬を処方すべきである。

 

 そもそも脈診の部位はどこか。九針十二原篇にいうように,原穴が絶対的な診断点であるとすれば,ここでも原穴に触れるのが当たり前である。しかし,現実にはそれぞれの原穴で,これほどの脈状の差を診ることは困難かも知れない。

 それでは,動じて休まない手の太陰の寸口ではどうか。皮膚から骨髓までの浮沈に五蔵を配当する。そんなに細かく診ることが可能かという声も聞こえてきそうだが,浮中沈に三蔵を配して,それぞれの中間にさらに一蔵ずつを配する,という程度に考えれば,まあ可能な努力目標かも知れない。ここの脈診の祖脈に浮沈が無いのも,そのような推測を後押しする。

 また,人迎脈口診では,五蔵の奈何は脈口で診ることになっている。

 緩急、小大、滑濇のそれぞれに甚と微が有る理由はよく分からない。微の場合の方が,より深刻な情況のような印象なのが,なお分からない。おそらくは,微は体力がすでに衰え尽きて,正常に緩急、小大、滑濇の脈状になれないのであり,甚は体力がまだまだ正常だが,緩急、小大、滑濇の脈状がむしろ過度なのであろう。

 

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